Mio - -

-------------------------------------------------------------------------------- が目を覚まして一週間がたった。 スコールは、が目覚めてからずっと彼女の傍を離れなかった。 スコールは、その間ずっとと話していた。 ママ先生のこと、パパ先生のこと、友達のことや自分こと・・そして、この孤児院のことについて・・。 †          †           † ある日、アカリは孤児院の子供達と一緒に岸辺に遊びに行っていた。 子供達は、砂遊びをしたり、水遊びをしたりと各々、自分の好きなことをして遊んでいた。 アカリも最初スコール達と水を掛け合って遊んでいたが、遊び疲れて砂浜へと向かっていった。 アカリが抜けた後も残された子供たちは水を掛け合い続けていた。 しばらくたって、他の子供達も遊び疲れたのか1人・・また1人と砂浜へと戻って行った。 スコールも同様に砂浜へと足を進めた。 「あれ?アカリは??」誰かが砂浜を見回しながら言った。 「!?」スコールは、その言葉にハッとしてあたりを見渡してみた。 ・・・・・いない。さっきまでそこに座って海を眺めていたアカリは、いつの間にかいなくなっていた。 スコールに不安がよぎった。 「(アカリが消えちゃうッ!!エルお姉ちゃんみたいに・・・いなくなっちゃうッ。)」 スコールは以前、実の姉のように慕っていた女性を失ったばかりであった。 また大切な人を失うのは嫌だ、その思いが疲れているスコールの身体を動かす。 どれくらい走っていたのだろうか、無我夢中で走っていて、周りが見えなかったスコールは、いつの間にか岩場へと来ていた。 ここは、いつもスコールとアカリが遊びに来ていて、スコールのお気に入りの場所だった。 この場所から見る夕焼けは、とても絶景でありスコールは先生に怒られた時や、 友達とケンカした時は、いつもこの場所に来ていた。 しかも、ここは孤児院から離れている為、人に知られることもなかった。 本来ならば誰にもこの場所を知られたくないのだが、スコールはアカリにだけ、この場所を教えたのだった。 「(もしかしたら・・・)」 あてにならない勘がスコールをここへと導いた。 スコールは一度立ち止まって、荒れた息を落ち着かせようと少し前屈みになりながら、目だけを動かしてあたりを見渡した。 ふと岩と岩の間に銀色がなびいているのが見えた。 それは、一瞬の出来事だったがスコールには充分であった。 岩に近づいてみると案の定、アカリが座っていた。 ただスコールの予想と違っていたのは、いつも笑顔だった彼女がまるで別人のように、どこか儚げで、悲しそうな表情をしていたことだ。 「アカリ・・・・?」 スコールは、いつもと違うアカリに戸惑いつつも、心配そうに彼女に声をかけた。 アカリもようやくスコールの存在に気づいたのか、ハッとして、すぐにいつもの笑顔を作った・・・・・つもりだった。 「どうして、そんな寂しそうな顔してるの?」 スコールはアカリを見つめる。その顔は、曇っていた。 「・・・・・。」 アカリはスコールの問いかけに答えなかった。否、答えれなかったのだ。 出会って間もないスコールを信用していいのだろうか。 あの時"のようになるのではないのか。 アカリの心に不安が積もる。 「そんな顔しないで。君が悲しいと僕も悲しくなっちゃうから。」 「・・・?」 アカリはスコールの言葉の意味が分からず、不思議そうな顔を向けた。 「だって、僕は君が好きだから。だからお願い、そんな顔しないで。」 「!?」 スコールは、いつになく真剣な表情でずっとアカリを見つめていた。 『だって、君が好きだから。・・・・そんな顔しないで。ずっと・・』 アカリは、スコールを見てあの時"を思い出していた。 今と全く変わらない。まるで自分があの時に戻ってしまったのではないかと思うくらいだった。 「アカリ?」 自分を見つめたままピクリとも動かない、アカリをスコールが呼んだ。 その声で、アカリは、一気にに現実に戻された。 「(そんなはずがないよ。だってお兄ちゃんは・・・)」 淡い期待は持っちゃいけない、簡単に人を信じちゃいけない。 自分の身をもって体験したはずなのに・・・。 アカリは、スコールを信じてしまいそうになる。 出会って間もないけれど、アカリは、彼に強くひかれていた。 †       †        † 二人の間にしばらく沈黙が続いた。 「ねぇ・・スコール。」 アカリはやっと口を開いた。 「なぁに?」 「スコールは、家族のこと覚えてる?」 「え?」 スコールは予想外の言葉に驚いたが、すぐに 「あんまり覚えてないや。アカリは?」 「私は・・・覚えてるよ。ちょっとだけだけどね。・・・パパやママのことは、覚えてないんだけど、お兄ちゃんがいたんだ。」 「へぇ、どんな人だった?」 スコールは、血のつながった家族というものを知らないため、興味深そうに聞いた。 「すっごく優しかったんだ。それでね、いつも私が泣いてる時に傍にいてくれたの。 けど・・・・・・私を置いて、どこかに行っちゃった。」 「!」 スコールはその時、アカリの悲しみの理由がわかった気がした。 アカリもスコールと同じ悲しみを味わっていたのだ。 だから、彼女の気持ちが痛いほどよくわかったのだ。 「ねぇ、アカリ・・。僕も大事な人がどこかに行っちゃたんだ。だから、君の気持がわかるよ・・・・・寂しかったんだよね?」 アカリは、その言葉を聞いた瞬間、堪えていた涙が彼女の頬を伝った。 2人の同じ悲しみが、2人の絆を深めていく。 「ッうん・・・スコールも寂しかった・・・?」 「うん・・寂しかった。でも、今はアカリがいるから・・・・ねぇもし、君が良かったら・・・ずっと傍にいていい? ・・・・・僕は君の―――になりたいんだ。」 「本当?」 アカリは、スコールの言葉に驚いた。 「ずっと傍にいてくれる?」 「うん。だって僕は―――だから・・・」