dichiaramento
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「ちょ、お兄ちゃんッ!!」
慌てて、訓練場に行こうとしているスコールに向かって声をかける。
声をかけられたスコールが振り返ると、そこにはこちらに向かって走ってくるがいた。
「、どうし「よぉ、ちゃんじゃねーの。久しぶりだな。」
肩で息をしている妹に向かって声を掛けようとするも、隣にいたサイファーに遮られてしまった。
サイファーを睨むと、当の本人は気にもかけずにとの会話を進めている。
「ちょうどいいところに来たな。実は「無理。」・・・・。」
サイファーのこのセリフは絶対面倒事が起こる。
長年の経験から、は身の危険を感じ取ったのだ。
が、そんなの防衛術も気にも留めずにサイファーは続ける。
「今からスコールと訓練(と言う名の殺し合い)をするんだがよぉ、審判がいなくてなぁ・・。」
「(そんなこったろうと、思ったけどね・・。)・・嫌よ。」
「そうかよ。んじゃあ、俺らだけでやるか。」
意外にもあっさりと納得したサイファーにスコールとは驚いた。
「(もっとしつこいかと思ったのに・・。)」
サイファーは「じゃぁな。」とに背を向けたと思いきや、彼女の耳元に顔を近づけて・・
「せっかく審判に任命してやろうと思ったのにな、お前が拒否したんだ。何が起きても後々文句言うなよ?」
「!?」
サイファーの言葉を聞いた瞬間、は最悪の状態を予想した。
「(ヤバイ・・・。コイツ、なんかしでかす気だッ。)ま、待って!!やっぱ、私も行くッ。」
急に掌を返したように態度を変えたにスコールは疑問を感じた。
「(コイツ・・・、何、人の妹をたぶらかしてんだ・・。)」
スコールの中に密かなる殺意が生まれた。
そんなスコールの殺意に気付いたサイファーはニヤリと笑って、今度こそ訓練施設へと足を進めた。
† † †
一行は、岩場に着いた。
ちょうど、足場の良い円のスペースを見つけ、スコール、サイファーは向き合って互いにガンブレードを構えた。
は、訓練の邪魔にならないようにと、彼らから距離のある岩に腰かけることにした。
「いい?あくまで(ここ重要)訓練なんだからねッ!!魔法の使用は禁止だからッ。」
しつこいとは思ったが、この2人にはこれくらい言っても足りないぐらいだと思う。
サイファーはもちろんのこと、スコールもああ見えて結構負けず嫌いな面がある。
そんな2人が剣を交えるのである、何が起こっても不思議ではない。
2人はの言葉に頷くと、再度ガンブレードを構え直した。
準備が整ったことを確認するとは、開始の合図を知らせた。
次の瞬間、一気に互いの距離を縮め合い、ガンブレードをぶつけ合う。
<<カキーンッ>>
武器のぶつかり合う音と彼らの足音のみが訓練施設に木霊した。
それから数分がたっただろうか。
互いに引けを取らなかったが、だんだんサイファーが押されだした。
「(これで終わりかな・・。)」
はそう思いながら、無事に訓練が終わることに安堵した。
しかし、世の中そんなに都合よく事が運ばれることはまずない。
案の定、スコールが勝負に出ようとした瞬間ッ
――ボンッッ
何かが爆発するような音がした。
サイファーが近づいてきたスコールに向かって禁じ手であったファイアを放ったのである。
予想外の彼の動きに、スコールは避ける間もなく真正面に喰らってしまった。
その衝動でバランスを崩したスコールにサイファーは留まることなく、ガンブレードを振り上げた。
―――ザシュッ!!
何かが切られる音とともに、真っ赤な血が辺りに飛び散った。
スコールの額が切られたのだ。
額の傷はそれ程深いものではなかったらしく、スコールは仕返しにと彼同様、サイファーの額をガンブレードで切りつけた。
互いの血が互いの闘争心に火を着ける。
お互い引けを見せない様子にさすがに危機感を感じたは、2人のいる方向に大股で足を進める。
――ガキィィィンッッ―――
は双方の間にタイミングよく入り込んで、サイファーのガンブレードを止めた。
一方、スコールのガンブレードは・・・
「!?」
刀を一本しか所持していないはやもなく、スコールのガンブレードを素手で受け止めたのだった。
スコールが突然介入して来たを見て、勢いを抑えたものの、切れ味の良いガンブレードを受け止めたの手からは、
止めどなく血が流れ続けていた。
サイファーもの腕を見て声を掛けようとする。
「なっ、お前・・「今日はもう終わりッ!!!」
が、彼女の声に遮られてしまった。
今までに無い位のの威圧感に2人は黙ってガンブレードをしまうしかなかった。
従順な態度をとっているが、どことなくまだ納得していない雰囲気を漂わせるスコールとサイファーには、
軽く溜め息を吐きつつも、そっとスコールの額に手を当てた。
「絶対痕残るよ・・。せっかく、男前なのにー。」
「・・・?」
スコールがの行動に疑問を浮かべていると、彼女の掌から淡い光が放たれた。
すると、スコールの額が止血された。
「よし、止まったねッ。じゃあ、次はサイファー!!」
はサイファーの方に向かっていき、スコール同様に額に手を当ててケアルをかけた。
そんな達を見ながらスコールはぼんやりと見つめていた。
――ケアルをかけてくれたに感謝するが、正直モヤモヤする・・・。
盛り上がってきた所を止められたのに対してなのか、それとも―――――。
スコールは、わだかまりの原因を見つける前に意識を手放した。
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