※ストーリーの都合上、スコールが今回出てきません;;




Io sono dal lato

-------------------------------------------------------------------------------- 戦地―ドールには車でバラムまで移動した後船で向かう。 、リヒト、シンの三人は船内で男性のSeeDに状況・任務の説明を聞いていた。 「本日のクライアントはドール国会議会。派遣要請があったのは18時間前だ。」 SeeDは達に背を向ける体制で、パネルの画面をドールの街中の簡易地図に切り替えた。 そして、再び達の方を向いて説明を続ける。 「ドール公国は約72時間前からガ軍の攻撃を受けている。 開戦から49時間後にドール公国は市街区域を放棄。現在は周辺の山間部に退避中。再編を急いでいる。 ――以上が現在状況である。次に任務と作戦の説明だが・・・」 SeeDがパネルを操作すると、更に画面が拡大された。 「報告によると相手は、周辺山間部のドール軍排除作戦を実行中だ。 我々はルブタン・ビーチから上陸する。市街地に残るガ軍を排除しつつ、市街地を解放。 その後、私達SeeDが山間部から戻るであろうガ軍を市街地周辺部で迎撃。」 「俺達は何をするんッスか?」 シンが小さく手を上げながら質問した。 SeeDはチラリとシンに視線を向け、地図のドール市街地を指で示した。 「君達には市街地に侵入するガ軍を駆除してもらう。」 はこの言葉を聞いて、ふとサイファーの顔が思い浮かんだ。 「(サイファーの奴、こんな任務じゃ物足りないだろうなぁ。 担当SeeDにイチャモン付けてなきゃいいけど・・。)」 の予想は見事に的中し、サイファーは担当SeeDのシュウに突っかかっていた。 「・・他に質問はないな?」 SeeDが達を見渡し、確認する。 「言うまでも無いが、撤退命令は絶対だ。これだけは守れよ。 ・・・間もなく上陸する。船を降りたら、直ぐに戦闘が開始されると思え。」 SeeDは最後にそう言い残し、部屋を出て行った。 「いよいよだな。」 シンが口を開いた。 「そうだね・・。」 「何だよ、緊張してんのか?」 シンはニヤリと笑いながら、に尋ねる。 「ちょっとだけね。・・・・外見てくる。」 はそう言って、返事も聞かずに甲板へと出て行った。 「ちょっと強引すぎたかな・・?」 ポツリと呟いたその言葉は心地よく流れる風によって掻き消された。 ――緊張してるのか? シンの言葉が蘇った。 「・・当たり前じゃん。すっごい緊張してるよ。」 手すりに寄り掛かりながら、は呟いた。 「そうなんだ。」 「ッ!?」 の独り言は意外な人物によって返された。 「リ・・ヒト?」 「隣いいかな?」 驚くを尻目に、リヒトはの隣に来た。 「何で来たの・・?」 「ん?だって、何となく追いかけて来て欲しそうだったし・・。 それに、が無理してるんじゃないかなーって思ってね。」 「え・・。」 「あ、もしかして違った?俺の勘違い・・?」 先程までの自信に満ち溢れた表情は一変し、不安げな表情になる。 そんなリヒトの豹変ぶりには思わず、笑ってしまった。 「あ、ひどいな。せっかく人が真剣に心配してるってのに・・。」 「ふふ、ゴメン。あまりのギャップについね。」 「しょうがないなぁ、特別に許してあげる。やっと、笑ってくれたしね。」 本心で、と付け足すリヒトには驚きを隠せない。 「え?そんなこと・・・」 「あるよね。シンと話してる時も何となく、強張ってるって言うか・・・愛想笑い?って感じだったよ。」 「本当?意識してなかったのに・・。」 悪い事しちゃったな、と落ち込む彼女にリヒトは言った。 「大丈夫だよ。シンって鈍感そうだし。」 キッパリと言い切るリヒトに彼の本性が見えた気がした。 「(否定できないのが悲しいよね。)」 それから暫くの間沈黙が続いた。 「あのね、」 口火を切った。 「私、お兄ちゃんがいるでしょ?」 「お兄ちゃんってさ、先生から問題児扱いされてるけど、本当はすごい強いし頭もいいんだよね。」 腕の中に顔を埋めながら、言葉を紡いでいく。 リヒトは静かにが喋るのを待っている。 「いわゆる、天才って言うか・・。私とお兄ちゃんは、ちっちゃい頃からずっとガーデンで育ってきたの。 ずっと一緒にいて、何をするにも一緒だった。」 「だからかな、いつも比べられちゃうんだよね。」 「・・・・・。」 何が?とは聞く必要もないとリヒトは思った。 出会ってからずっとに抱いた違和感の正体はコレだったのだ。 「俺は気にしないよ。」 リヒトは静かにそれでも力強く言った。 「・・・。」 「確かに兄妹って似るモノだよね。けど全部一緒って訳じゃない。見てきた物や感じる事は違う。 もスコールも一人の人間として生きてる。だから、スコールに負けてるなんて考えちゃ駄目だよ。」 「うん、ありがとう。・・・私さ、ずっと焦ってたのかも。 試験に落ちてSeeDになれなかったら・・またお兄ちゃんに置いてかれる様な気がして・・。 でも、リヒトのお陰で落ち着いた気がする。すごいね、リヒトの言葉って安心する。」 そう言ってリヒトに笑いかけた。 リヒトも「すごいでしょ。」と言いながらの頭を撫でた。 それから2人はシンが呼びに来るまでずっと甲板で過ごした。 そして呼びに来たシンが2人を見て何かを察し、が必死で弁解する姿が見られた。 ――彼に撫でられた時、何故かとても懐かしい気持ちになったのはなんでだろ・・ ――そんな疑問も激戦の音に掻き消されるのであった。