Where are you!?
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「起立、礼」
HR委員の掛け声で一斉に生徒達が立ち上がり、会釈程度に頭を下げる。
そんなやる気のない生徒の態度を気にすることなく、教師は荷物をまとめさっさと教室を出て行った。
教師のいなくなった教室は一気に騒がしくなる。
友人と話し出す奴や帰宅の準備をする奴、俺は後者の方になるな。
黙々と教科書(一部居残り組み、=置き勉)を入れていると、ふと先程の出来事が思い浮かんだ。
―――昼休み
俺達はいつも通り屋上で飯を食っていた。
守護者と玉依姫が集まる屋上は他から見ればかなり威圧感があるらしく、俺達以外の人影は見当たらない。
が、それは昨日までの話。
今回は先客がいたようだ。
そいつは、綿毛のように白く柔からい髪、巫女を連想させるような和服、そして髪同様白く柔らかそうな耳と尻尾、
正直、すげぇ可愛い。思わず抱きしめたくなるような・・・って何を考えてるんだ俺はッ!?
まぁ、そのなんだ・・・兎に角、特殊な先客が俺達を待っていたって事だ。
んで、そいつの名前はって言って、それで何故か俺の事を知ってるようだ。
珠紀と慎司が騒いでると(まぁ、当然だが)、祐一先輩と真弘先輩が飯食いだして、取り合えず飯になったんだ。
飯を食い終わった俺等は、をどうするか迷って(まだ5、6限がある)、
が何処から来たのか不明だし、自分の意思で来たなら好きな時に帰るだろう、と言う尤もらしい祐一先輩の案で
取り合えず、その場は一端解散となった。
珠紀や慎司は不安がってたがな。
んで、5限、6限と時は過ぎて今に至る。
「拓磨ー?」
いつの間にか俺の前に来た珠紀が、不思議そうな顔をしてる。
「あぁ、悪りぃ、何か用か?」
「何か用ってあんた、今から屋上行くんでしょうがッ。」
そう言って、教科書で俺の頭を叩いた。地味に痛い・・。
「あー、そうだったな。」
そう言えば、後からがいるかどうか確認してこいと、真弘先輩に命じられたんだった。
「もう、早く行くよッ。」
少々不機嫌な珠紀の後に続いて、俺も教室を出た。
後ろで多家良が何か言ってたが、ここは無視するのに限る。
「ちゃーん!?」
屋上についた俺達はさっそくを捜し出した。
が、一行に見当たらない。
いい加減諦めようとする度に珠紀が鞄を投げつけて来て、結局1時間近く経ってしまった。
この狭い空間で1時間捜し続けた俺に誰か鯛焼きを奢ってくれ・・・・。
「はぁ、帰っちゃったのかな・・・。」
珠紀も諦めモードになり、俺等は先輩達がいる校門へ足を進めた。
校門に着いた俺達。
真弘先輩が遅いと文句を言いながらドロップキックを仕掛けてきたので、かわして今までの経緯を慎司と祐一先輩に話した。
「そうか、やはりは見当たらなかったか。」
「ッス。」
「残念です、どこ行っちゃったんでしょうね。」
「・・・・。」
「先輩?」
さっきから一言も喋らない珠紀を不審に思ったらしい。
確かに、コイツは真弘先輩と同じくらい騒がしい奴だから、黙られると正直心配になる。
「せ、先輩!?大丈夫ですかっ??」
いきなり大声を上げる慎司に驚いて、振り返ってみると何故か泣いてる珠紀と慌ててる慎司がいた。
「お、おい。どうしたんだ?」
「どーした珠紀!?慎司の奴に泣かされたか!?」
「えぇー!?ぼ、僕じゃないですよッ。」
急に泣き出す珠紀を前に慌てる3人の男・・・・なんて情けない情景だろうか。
そんなことを考えていると、先程まで黙っていた祐一先輩が珠紀の前に来た。
そして、彼女の前で屈んで目線を合わせる。
「・・・どうした?」
そっと手を頭に置きながら、優しく尋ねる。
珠紀も顔を上げ、赤く染まった目に涙を溜めながら、口を開いた。
「ちゃんっ・・いなく、ッなっちゃって、も、う・・会えな」
どうやらコイツは、二度とに会えなくなる事が不安だったらしい。
俺達がと過ごした時間は、本当に一瞬だった。
けど、はその一瞬の間に俺達の心に入って来た。
「(マジですげぇな、アイツ・・・。)」
の能力に感心している間に珠紀も泣き止み、俺達は帰路に着いた。
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