1日目:卵が孵化しました。
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――あの女からコイツを貰って約ニヵ月が過ぎようとしていた。
いつになったらコイツは孵化するんだろうか・・・―――
「(いやその前に、何でコイツをまだ持ってるんだよ。)」
無駄にデカイそれは、サイファーの部屋を陣取っている。
床に放置したはいいが、通る度に避けなければならない。かと言って、机やベットに置くわけにもいかない。
置場の無いそれを邪魔だと思っても捨てることができないのは何故だろうか。
「ったく、面倒なものを引き受けちまった・・・。」
暫く卵をぼんやり眺めていた。
すると・・・
―――ピキッ
「ん?」
急に卵に小さな亀裂が入った。
遂に孵化するのか・・・やっと無駄なスペースが無くなると喜んだのも束の間・・
――バキッ
「!?」
卵が孵化するとは思えないような効果音が響き渡った。
何事かと思って見てみると、小さな人間の手が殻を次々に打ち破っている。
あまりの光景にサイファーはただただ驚くばかりであった。
☆・。★・。☆・。★・。
「ふぅー。」
それから数分の後、卵の中に居たチョコボ―――否、少女は殻を全て破壊し、肩に付いた破片を払っていた。
「おい。」
「ん?」
殻を払い終えた少女が見上げた先には、お世辞にも優しそうとは言えない青年が立っていた。
「「・・・・・。」」
2人の間に沈黙が流れる。
そんな沈黙を先に破ったのは少女の方だった。
「ママーっ!!」
――ギュゥゥッ
突如、少女がサイファーに抱き付いたのだ。
「・・・・・は?」
イマイチ状況が掴めないサイファーは暫くの間見知らぬ少女に抱き締められるのであった。
――そしてようやく冷静な判断が可能になったサイファーは、少女の名前がである事、
そして、何故か自分がの母親である事を知るのであった。
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