Stesso tempo
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最後に彼と話したのはいつだっけ。彼が遠征に行ったのが、桜が咲いてた時だったから・・・
「3月!!??もう、4か月も会ってないじゃないッ!!!」
どうりで、最近暑いんだ・・、と一人納得している私に、隣にいた飛虎が不審そうな眼をしてこちらを見てくる。
なによ、私がイタイ子みたいじゃないか・・・・。
「実際そうだろ・・・(ボソッ)」
飛虎は湯呑を机に置きながら、窓のほうを見てい。。
「なっ、そんなことないしっ。ていうか、人の心読まないでよっ!!」
「俺くらいになると、読心術もできるようになるんだ。」
飛虎・・得意げに言ってるけど、そんな武将嫌すぎるからね。
「・・お前今失礼なこと考えてる・・・おっ!!!聞仲じゃねぇかッ!!」
<<ガタッ>>
飛虎が急に立ち上がって、扉の方に向かった。
ちょ、いきなり大きな声出さないでよ飛虎。心臓に悪いわ・・・。って言うか飛虎今何って言った??
聞仲様・・・??
ぶっ・・・・聞仲様ぁぁぁぁぁーー!!??
なっ、何故ここに・・・。あれ? 今回の遠征は、長引くって聞いたんですけど。
まだ、4か月しかたってないんですけど。(一年は帰ってこないと思ってた。)
「お、聞仲。意外に早かったじゃねぇか。」
「・・・まあな。思った以上に反乱の規模が小さかったんだ。私が出向く必要もなかった。」
聞仲様は、そう言いながら空いていた椅子に腰をかけた。
「まぁいいんじゃねぇの??早く帰ってこれたことだし・・・」
うんうん、早く帰ってきてくれてよかった・・・あ、「お、お帰りなさいませ聞仲様ッ」
我にかえって、挨拶する私。しまった、忘れてた。
「・・あぁ。」
顔をこちらに向けず聞仲様は答えた。
・・・もしかして、ちょっとご機嫌斜め・・?;;
いや、この人いつでもこんな感じか。
飛虎とはちゃんと話してくれるのに・・・・やっぱ長い付き合いだからかなぁ・・
でもさ、私も一応あなたの恋人なんですけど・・・。恋人よりも、友人ですか!!??
異性愛より、同性愛ですか!!!??(違)
まぁ、それは冗談として・・・顔をあげると、聞仲様と飛虎はもうすでに二人だけの世界に入ってる。
さすが、長年の友ってやつ・・・あ、聞仲様今笑った。私の前では、全然笑ったりしてくれないくせに・・・。
ていうか、今思うと聞仲様といた時間って、飛虎よりも短いんだよなぁ。
道理で聞仲様のこと何も知らないんだ・・・。
なんか、泣きそうになるなぁ。・・・もう戻ろう。
そう思って、部屋の扉へと向かう私に飛虎が、
「なんだもう帰るのか?」
「もうって・・。私2、3時間ここにいた気がするんだけど・・」
その言葉に、聞仲様の眉がピクリと動く。当然私は気付かなかったけど。(後で、飛虎に聞いた。)
「それに、ここにいたら二人の邪魔になっちゃうし。」
「そんなことねぇよ。」
いや、飛虎がよくてもさ・・・ていうか、聞仲様そんなに睨まないでください、怖いです(失礼)。
そんなに飛虎と二人がいいんですか。そう考えると、よけい泣きそうになる。
「ありがとう。でも、私もまだ仕事残ってるから・・・。じゃあまたね。」
早口で言い終わると、引き留めようとする飛虎に背を向けて、急いで部屋を出る。
だって、あの人にこんな顔見られたくないよ。
† † †
残された私達は、の出て行った扉を見つめていた。しばらく沈黙が流れていた。
「どうするよ聞仲?アイツ、泣きそうだったぞ・・。」
沈黙を破るように飛虎が言った。
「そうだな。」
「そうだなってお前なぁ・・。追いかけなくていいのかよ?」
追いかけて・・・どうする?アイツに私は何を言えばいい?
わからない。長い間会っていなかった。傍にいてやれなかった。
遠征ばかりで、ろくに会えもしない私たちの間にはいつの間にか大きな壁ができていたようだ。
私がいない間お前は何をしている?今日みたいに飛虎とずっといるのか・・・?
そう考えるたびに、モヤモヤとした気持が生まれる。こんな感情、遠い昔に捨ててきたと思っていた。
「う・・・仲・・・聞仲ッ!!」
気がついたら飛虎が必死な顔をして私を呼んでいた。
・・・あぁ、あいつのことを考えれるだけでまわりが見えなくなってしまう。
「フッ、ここまでくると重症だな・・・」
飛虎が一瞬驚いた表情をしてたが、すぐに何かを理解したように笑った。
「ハハッ、結局どっちも似たモン同士ってことか。」
「どういう意味だ・・」
「ククッ、お前らホントおもしれぇな。」
飛虎は、私の問いかけに答えずに、笑い続けている。
自分が笑われているのは、好ましくない。ましてや、理由もわからないのだ。
そう考えていたら、自然に飛虎を睨んでいたらしい。
「そう睨むなってッ!!でもまぁ理由を知りたきゃ、直接本人に会ったほうがいいんじゃないのか?」
ニヤリと笑う飛虎を見て私は、図られたことに気がついた。そうだ。コイツは、そういう奴だった・・・。
飛虎の思惑通りに動くのは癪ではあるが、奴の言うことも一理ある。
そんなことを考えながら、部屋を出た。
† † †
「はぁ・・」
一人部屋を出てきたは、屋敷を出ようと足早に玄関へ向かう。
<<カツッ、カツッ>>
自分の足音が大きく響きわたる。
「(広いよなぁ・・・)」
武成王で広い屋敷を持つを黄飛虎、今までそんなに距離を感じたことがなかった。
「(なのに何であの人はあんなに遠く感じるのかな・・・)」
今思えば不思議なものである。位もそんなに変りのない黄飛虎と聞仲だが、飛虎の場合はただの友人として接することができる。
それに比べて聞仲は・・・
「実はワザとだったりして・・・」
聞仲に距離を感じるのは、もしかしたら彼自身が自分と距離を置きたいから、わざとそういう雰囲気を作ってるのではないか。
そう思うと自然に涙が溢れ出した。
「・・ッ。」
屋敷を出てから思いっきり泣くつもりだったのに・・・彼のことになるとどうしても自分に制限が利かなくなる。
でも、それくらい好きなんだななんて、改めて実感する。
そんなを誰かがぐっと腕を引いて、そのまま抱きしめる。
「ぶ、聞仲様!?」
は、思わず体をこわばらせる。
「お前にとって私は、そんなに信用のない奴なのか?」
自分にも涙を見せようとしないに聞仲は不満を抱いたらしい。
「ぶ、聞仲様だって私の前では笑ってくれないじゃないですか・・」
そんな聞仲にも、少し拗ねたようにそう言い返す。そういえばそうだったかもしれない。
元々表情をあまり出さない聞仲だが、言われてみれば彼女の前で笑ったことがない。
の言葉に少し考えるそぶりを見せた聞仲だが、
「・・・緊張しているんだ。」
「へっ?」
予想外の答えに、思わず間抜けな声を出してしまう。
「緊張するんだ、お前といると。」
・・・以前、聞仲はこのことを飛虎に相談していた。
あまりにも真剣な聞仲を見て、飛虎は思わず噴き出しそうになるのを堪えながら、 その理由を聞仲に教えた。
「それくらい愛しているんだ。を。」
は、自分の顔が熱を上げているのを感じた。
まさか聞仲がそんなことを思っているとは、夢にも思っていなかった。
聞仲は構わず続ける。
「私は長い期間、殷にいることができない。
最初は殷の為にと苦にもならなかったが、ここ数年は正直遠征に行くのが嫌になる。
お前の傍にいられない・・それが一番つらいんだ。今日お前が飛虎と話しているのを見て改めてそう思った。」
聞仲も同様、長い時間一緒にいられないことに対して不安を抱いていたようだ。
それを知ったは、今までの不安が一気に消えたような気がした。
「私も辛かったです。仕事とはいえ、いつも聞仲様と距離を感じていました。
でも、今は違います。聞仲様も私と同じことを考えてくれました。私は、それだけで幸せです。」
赤面した顔を見られないように、俯きながら答えた。それでも、聞仲の耳にはの言葉がしっかりと届いていた。
聞仲は、飛虎の言葉を思い出した。
「(フ・・確かに、飛虎の言うとおりだったな・・)あぁ、私もだ。」
聞仲は、より強くを抱きしめた。そして、、今までの時間を埋めるようにそっと口付けた。
〜END〜
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〜あとがき〜
何気に記念すべき1作品目、まさかの聞仲さま(笑)
書き上げたのは1年くらい前なんですが、改めて修正を加えてからこっちのHPにUPッ!!
誤字脱字がすごい・・・・;;;
一応、気をつけてはいるんですが・・・まだある場合があるんで、その時はこっそり教えてくれるとありがたいですww
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